変形性股関節症
変形性股関節症は先天的な原因や、後天性の疾病やけがにより股関節の構造に破綻が生じた状態を言います。患者様の多くは女性で、主な症状は関節の痛みと機能障害です。
股関節は鼠径部にあるため、最初のうちは立ち上がった時や歩き始めた時などに脚の付け根部分に痛みを覚えます。進行するに従ってそうした痛みが強くなり、いつも痛むようになったり、夜寝ている時にも痛んだりするようになります。
臼蓋(きゅうがい)形成不全
臼蓋(股関節の屋根にあたる部分)の発育が不十分なため、大腿骨頭をしっかり被覆できていない状態です。小児期の臼蓋形成不全は、基本的には乳児の時に超音波やX線検査で診断される画像上の診断名であり、臨床的に問題となるような症状はありません。しかし、大腿部の皮膚のしわが左右対称でなかったり、脚の開きが悪かったりすることがあります。
単純性股関節炎
単純性股関節炎は、一過性の股関節疾患で、小児期(3~10歳)によく見られます。女児よりも男児に多いのが特徴です。原因は不明ですが、風邪を引いた後に発症しやすいことから、自然な免疫反応ではないかと言われています。症状としては、太ももや膝の痛みや足の引きずり、歩行困難などが見られます。単純性股関節炎の症状は、小児期に発症する他の股関節疾患の初期症状に似ているため、注意深く経過観察をする必要があります。
大腿骨頭壊死
足のつけ根部分の骨(大腿骨頭)への血流が低下し、骨の一部が壊死してしまう疾患です。大量飲酒やステロイド薬の服用など、様々な原因で発症しますが、詳しいメカニズムはわかっていません。症状としては、骨が潰れてくると、股関節や腰、膝の痛み、歩行困難などが現れてきます。X線やMRIなどの画像検査で診断をつけます。壊死した骨が小さく若年者の場合は骨切り術が、大きい場合は人工股関節手術が行われます。
大腿骨頭すべり症
大腿部のつけ根にある大腿骨頭の軟骨部分に負荷がかかることによって「ずれ」が生じた状態で、10代前半の男児に多い疾患です。肥満や遺伝が原因と言われています。足の大腿のつけ根に生じる強い痛みや不安定感(グラグラする感じ)、足を引きずる、などの症状が見られます。比較的珍しい疾患のため、診断・治療が難しいのが特徴です。
ペルテス病
大腿骨の骨頭と呼ばれる箇所の血行が何らかの原因によって悪くなり、一時的に壊死を来たす疾患です。3~6歳くらいの男児によく見られます。ほとんどは片脚に生じますが、両脚に起こることもあります。股関節の痛み(特に付け根部分)や股関節の曲がる範囲の制限、普通に歩けなくなる、歩行が困難になる、などの症状が見られます。喫煙世帯に多いことから、受動喫煙との関連性が指摘されています。